マルメロ


女は果実を味わっているが同時に、ルナに「何か」を授けてもいる――。


何を授けているのか――それを訊ねる程、ルナの理性は正気を保ててはいない――。


甘いジュレ状の女の意志が流れ込む――。


ルナは「受け入れる」しかない――。


不思議と「汚い」、「邪悪」などという思いはないのだろう――。


こうして唇を重ね、とろける甘さに堕ち、愉しんでさえいる――。


快の感情が頂点に達し、ルナは再び瞼を閉じ、躰を冷ます為に魂が意識を遮断した――。





「はっ――――」


「あら、もうお目覚め――」


意識を取り戻したルナを更に何かしてやろうと企てて、胸元に伸ばした手を惜しむ様に止め、女はやや落胆気味に言った――。


「何をするつもりだったの――」


「ふふっ――たった30秒で還って来るなんて――」


「意外とやるわね――」


ルナの、身を起こしながらの「尖った」問いに、意味不明な答えで弄ぶ女――。


「答える気はないみたいね――」


「それよりも、どうだったかしら――私の贈り物は――」


「贈り物って――あなたの性癖に私を巻き込まないで――」


ルナが唇を拭うと、甘い女の思念の残り香が二人の空間に漂いながら、ゆっくりと素肌に吸収されてゆく――。