マルメロ


針葉樹の先端に、現れた「自身」を眺め、ルナは秘密の場所のベンチに座り、まどろみと、やりきれなさが心で騒ぐ中、独り思いに耽る――。


何故、こんな事になってしまったのか――。


彼と、ぶつかったから――。


ファンクラブの言い知れぬ圧力――。


それに乗じる生徒会長と副会長――。


暗躍する否定派――。


辿り突き詰められて、自らの存在こそが――――そこで、煮詰まる――。





「カサッ――」


「誰っ――」


獣道を踏む音の感触を解析し、彼ではない気を感じたルナは、二人の空間を汚された苛立ちをぶつける――。


人影が、「闇」の中から近づく――。



「あらあら、自分を眺めて黄昏て――悲劇の女でも演じているつもりかしら――」


「私の場所に、土足で踏みにじる様な事をして――あなた、何者なの――」


「私の場所――ふふっ、ここは学院の敷地でしょう――それを、私的専有物気取りで全く笑えるわね――あなたこそ、何様のつもり――」


「くっ――」


互いの魂が、相容れない――太陽と月が混じり合った光に照らされた女を見て、ルナは身構える――。