マルメロ


ミナの問いかけに、再び動揺を見せる茜――。


委員長の「定番」の如く、最前列の教壇近くに陣取り、艶やかな髪を、お下げスタイルでまとめ、ちょっと悔しそうな仕草でぼんやりと床を眺める――。


残念と言うべきか――必需品の眼鏡は、「装備」していない――。





「わ、私は――くん――でいいわよ――」


少し強気な口調で茜はミナに答えた――。


「ほほぅ、あかねっちはまゆっちと同じで、くん――かぁ――」


想像通り――と神妙に頷き、悦に入るミナ――。





横5列、縦7列――1クラス35名――。


秋桜組の他に、藤組、椿組があり、1学年の生徒数は、105名程で推移する――。


2年、3年生を合わせての、総生徒数は315名――かつて、「名門」の名を欲しいままに享受し、今はその「残り香」を漂わす学院としては、「絶妙」な人数なのかもしれない――。


それも、金銭的、精神的負担を避けての事なのか、今の3年生が入学した時点から、クラス替えは廃止された――。


それでも、入学希望者が極端に減少しないのは何故か――。



やはり「名門」はブランド――。