マルメロ


「彼女達が喜んでくれるならって思ってたんだけど――テルくんには、迷惑をかけてるよね――」



「うーん迷惑というか、今のところ実害はないから問題はないよ――」


「それに彼女達も、これ以上の事はしないと思う――ルナに近寄る異物はオレ独りだし――寧ろ、怖いのは同性同士の関係性だよ――」


「誰も、飛び出せない――横一線で平等にルナが分配される――抜け駆けしようものなら、連帯がたちまち同族嫌悪に変容し、秩序が崩壊する――」


「だから、ファンクラブなんて案外、脆いのかもしれないよ――」



いつしか彼はルナに、親近感を覚えていた――「異物」――。


彼もそうであり、ルナも事実上、女子校という環境下ではやはり、「異物」なのだろう――無論、彼が受ける「待遇」とは真逆の「厚遇」でもてはやされ、「偶像」というおまけまで与えられているが――。


好意を上手くかわし、かつ相手の機嫌を損ねない高スキルの術をルナはまだ持ち得ていない――。


彼の様に、彼女らの「敵意」が明確に伝わる方が、まだ対処のしようもある――。


敵意には敵意を――術を施す必要など、ないのだから――。