「姉が通う姉妹校を受験しようとも思ったけど私、明るくて誰からも慕われる姉がちょっと苦手で――」
「悩んで結局、椿ヶ丘に受験先を変更した――そうしたら通り名が用意されて、ファンクラブまで――何か、始めから仕組まれているみたいに――」
仕組まれている――さすがにそんな策略めいたものでもないだろう――。
もしルナが姉妹校を選択していたら、状況は今のものより更に輪を掛けて「壮絶」な景色に違いない――。
ここまでの印象の通りなら、偶像として確立された姉と、その「影」を背負い、新たな偶像に祭り上げられた偽りの自分との狭間で悩み、苦しむのではないか――。
伏せた目で膝元を見つめ、自身を悔しがり、両拳を握るルナを見ると、こちらの方が精神的負担は「最小限」に抑えられているとも感じるし、たとえ何処へ行ってもルナを取り巻く「環境」と「状況」は、変わらないのだろうとも彼は思った――。
「でもね、彼女達を無下にも――」
この言葉が、ルナの本質であり「弱点」――。
本質が余計に人を引き寄せ、弱点を覆い隠し、自身は苦悩するが、「膜」を突き破る決定打を持たない――。



