5月の中旬にして、夏は冷夏と予報され、実際に寒い日が続いている――。
寒さを、寒さで覆う旧校舎に、「弱」設定のコタツの温度が彼に心地好い眠気を誘い、夢の世界へ旅立とうとしていた矢先、サユリが遮り、扉を閉じた――。
「最後の方、聞いてなかったでしょ――」
「ちょっと寝てた――」
彼は素直に認めた――。
「しかし、何だかここは妙に安心して落ち着くなぁ――」
軽く頬杖を突き、自分の部屋にいる様に、彼は気を許す表情を見せる――。
「麗しの氷女と、ひと悶着あったんですって――」
「うっ、まぁ知ってるよな――」
「で、どうするの――」
「オレは、謝りたいと思っているんだけど――ファンクラブいや、否定派の皆さんが――」
「妨害するのね――」
「はい――」
「女って、そういうものよ――表向きは友人を装い親しげな顔を創り、鳥籠の中の鳥を手放さない――」
「鳥が逃げ出そうとすると、女の性質を最大限に利用し、巧妙かつ狡賢く立ち回り、決して鳥を自由にはしない――」
「この学院に取り憑かれたのが、テルくんの運の尽きね――」



