独特の空間の境界に吸い込まれそうになっている、彼の意識を引き戻す様に、サユリは自分の名前と呼び方を告げた――。
「そうか、サユリ――オレ、勝手にコタツに入ってるけど、良かったのか――」
「ええ、構わないわ――いつも私独りだし、テルくんが来るのはわかっていたから――」
不思議な解釈を披露するサユリ――。
「な、なる程――で、人間観察部ってどんな部なんだ――」
「そのままの意味よ――」
目線を窓の外にやり、素っ気なさと冷たさが融合した口調で言うサユリ――。
「ここから外を眺め、行き交う生徒を見て、その行動、思考、言動を推察し、観察する――ただ、それだけの部活動――」
「ふふっ、部活動というよりは同好会ね――私しか部員はいないから――」
何処か、他人行儀に語る――。
「まぁ、この学院は部活動申請書を提出すれば、独りでも部として認められるから――でも、独りだから予算は下りないけれど、私はこの部室があれば事足りるから――」
「って、テルくん聞いているの――」
「んあぁ、ごめん――独りでも部として認められるって事か――」



