ファンクラブが、ルナの「解放」を拒み、「幽閉」する――。
彼も含め、ルナは決して「誰か」のものになってはならない――。
ルナを愛でて、共有意識を構築し、崇拝する事で、強固な一体感を得る――誰も抜け駆けせず、横並びの快楽――。
故に、独り占めしようとする者は、「組織」が人知れずやんわりと排除するか、仲間へと懐柔する――。
彼女らにとっては、小中時代からの無二の親友であるマリネであっても、組織の「法則」は例外なく適用されるだろう――。
3年間、クラス替えが行われないのをいい事に、マリネとルナは「引き離された」――。
ではいっそ、マリネを不合格にする策もあった筈――しかしそれではルナの学院での情緒が保てない――。
クラスは違えど、マリネはルナの精神的安定剤――それ以上でも以下でもない――。
同じ1年生や上級生に加え、学院内部にもルナから「快楽」を得ようとする影を、自身が体感した事象と狡猾さから、マリネは感じ始めている――。
麗しい偶像の周りで蠢く、黒くうねる個々の感情――それを束ねる「組織」と「学院」という強靭な器――。



