繭が、しなやかな首を傾げる――。
どうして自分が倒れてしまったのか――心臓に棘が刺さり、呼吸する度、「チクリ」と痛みを伴う違和感――。
そこに、繭の見解――。
あの状況において、倒れ、意識を失う「役割」は女性ではないか――。
あろう事か、「役割」を無視して自分が倒れてしまっては、一般的な「男」としての自身の立場も危うくし、相手も「色々」と迷惑を被っているに違いない――。
おでこ同士が、ぶつかった「だけ」なのに――。
女が男を粉砕し、保健室送りに――繭が言う妙な箔とは、「麗しの氷女」の麗しいを、強い、強靭みたいな言葉で上書きされた、屈強な人物像を想像させ、強いる事に他ならない――。
棘と深く重い想いを心に抱え、彼は解決策を模索する――。
「いっそ、スルーし続けたら――」
閉ざされた心のほんの僅かな隙間をこじ開け、あっけらかんとミナが言う――。
「テルの事だから、きちんと謝ろうとしてないか――」
「そうした方がいいだろ――」
「うーん、本当にそうかなぁ――」
腕を組み、軽く頬を張るミナ――。



