マルメロ


「あぁ、彼女の名前でしたねぇ――」


ほぼ、閉めたカーテンの隙間から横顔を覗かせたミレイは、もったいぶった素振りで言葉を続ける――。





「1年椿組学級委員長――」



「ノアーク―エリザベート―ルナ――」


「麗しの氷女『ひょうじょ』――」





「では――楽しみにしていますよ――」



「テルくん――」


幼い容姿を決定づける水晶体で彼を優しく「睨み」、生徒会長という絶対権力を振りかざす様な、あるまじき低い声でミレイは言いながらカーテンを閉め、保健室を出て行った――。







「帰ろうか、茜――」


「うん――」





学院から最寄り駅までの道すがら、男性教職員が保健室まで運んでくれた事、粛々と委員会は執り行われた事、麗しの氷女が凄く怒っていた事を茜から聞いた――。


彼も、改めて礼を言い、「だて眼鏡」の事、そして姉が学院の生徒会長だった事実を明かすと共に、不必要に口外して欲しくないと「お願い」した――。





「うん、わかった――」


茜は明瞭に言い、以後その話題に触れなかった――。





「私、こっちの路線だから――」