マルメロ


「じゃあ、キスでもしましょうか――」


らしくない、融けた目線に変換したサユリが、部室を「桃色」に塗り替える――。


「いやいやサユリ、そういうのはいいから――って、スカートをたくしあげるなっ――」


「せっかく残留を果たした御褒美なのに――つれないのね――」


軽く頬を膨らまし、薄赤く染まった躰が、普段の世の中を俯瞰し、冷め、遠くの世界を見る仕草と意志とはかけ離れた巧みな愛おしい「少女」を自我の空きスロットに装填するサユリに、彼の魂は握り潰される寸前だ――。


更に「むくぅ」と膨張する頬が、サユリの「可愛さ」を加速させる――。


「前に約束した通り、膝枕でいいよ――まぁ、サユリが嫌ならしなくてもいいけど――」


「じゃぁ、こっちへいらっしゃい――」


彼の問い掛けなど「愚問」と言わんばかりに正座したスカートの境界線から「たわわ」に実る太股を手で叩き、誘うサユリ――。


「本当にいいのか――」


「どうぞ――」


「じ、じゃあ――」


彼が頭を乗せやすい様に、膝を崩し「しなだれた」姿勢で迎え入れる――。


体温、意思、女である「躰」の柔らかさが、彼の意識を支配してゆく――。


妖艶な指先が、髪を撫でる――子供でもあやす様に――。


「眠くなったら、寝てもいいのよ――」


サユリの「誘惑」に彼は答えなかった――。


その時にはもう、サユリの「甘美」な世界の住人となり、堕ちていたのだから――。