マルメロ


これが、月曜日に起こった狂想劇の全て――。


結末に驚いたのは、当事者である彼と、ルナだったのかもしれない――。


俯瞰して眺めれば「子供じみた」演目――。


男という「異物」が混入、あろう事か「偶像」を汚そうとしているから転校しろ――。


そんな事をするなら「偶像」である自身が出てゆく――。


他人から見れば「児童劇」でも、当人達は「悲劇」を演じている――。


それは、演者が彼を除き「女達」であり、旧女子校という閉鎖的環境が醸し出す特殊な思念が燻らす故の舞台設定だからなのか――。


悲劇が介在する焦燥感と、相反する妙な高揚感が混じりあう舞台で、琴音とミレイの卓越した「演技」が、不気味な印象を残し、臨時生徒総会は幕を閉じた――。




「はぁ、人間は――特に女ってものは面白いわね――」


あの「演目」から数日、部室で「再会」したサユリは「らしい」感想を切な気に言った――。


「馬鹿馬鹿しいから、その日は休んだわ――」


彼を前に、素っ気なく言い、一口大にちぎったあんパンを口へ誘う――。


彼も思ってはいた――サユリは「演目」の演者にも、観客にもならない事を――。