「おはよっ」
「おはよー!いい天気だね」
友達の咲と駅前で待ち合わせをしたのだ。
太陽の光はジリジリと光っている。
「じゃあ、行こっか」
しばらくして、わたし達は駅前のカフェへと入った。
カフェの中は人が多くいた。まぁ、お昼時だからしかたないっかー。
わたし達は窓際の、二人がけの場所へと移動した。
わたしはナポリタン、咲はカルボナーラを注文した。
「同じような物、頼んじゃったね」
「だね。味見させてよー?」
ナポリタンとカルボナーラの味を堪能したわたしは、とても満足だった。
すると、さっきまで眩しいほどの晴天だったのに、急に曇り出した。
やばっ。降りそう...。
「これは降るね。天気予報当たったー♪」
咲はゴソゴソと鞄の中から折りたたみ傘を取り出した。
えぇー。わたし見てきてないよ。
しかも、久しぶりの晴れだったのになあー...
「咲。入れて?♡」
咲はゆっくりと頷いた。
「あのいっつも晴れを楽しみにして、天気予報ばっかり見てた真琴がまさか見てこないとはねー」
「だって、久しぶりの晴れだったからうかれて...ゴニョゴニョ」
家に帰ってきた時も、まだ雨は降り続いていた。
彼はどうしているだろう。ふとあたまの中に浮かんできた。
窓の外を見ると、彼はいた。
ただ、昨日わたしが強引に渡した傘をさしていて少し嬉しかった。
すると、彼がこちらに向かってきた。
え、嘘!?
「君、傘無くて大変だったでしょ」
彼の瞳は澄んでいて、だけどどこか寂しそうだった。
「え?うん、急に降ってきたから。」
「やっぱり。ごめんな?傘、返すよ」
そう言って彼は傘を閉じ始めた。
「いやいや!いいよ!君が濡れちゃうからっ!」
「え?あ、ありがとう」
彼は少し驚いていたが小声で、俺には必要ないんだけどなと言っていたが、聞こえなかったふり!
「あ、あと俺は「君」じゃなくて雫。桐谷雫。俺、 結構ここにいるから」
まぁ、君じゃなくて「彼」、だったんだけどね。
少し遅れて
「わたしは木村真琴。よろしくね!あと、傘は返さなくていいからっ」
満面の笑みで言ったわたしに彼、いや雫は苦笑いを浮かべていた。