「ちょっと!君ー」

声をかけると彼は気付いたようだ。

「何か用?」

「え?いや、かか傘!濡れちゃうよ?」

わたしはあわてて持っていた傘を渡した。

「いらない。」

彼はまるで濡れる事を気にしていないようだった。

けど、体はずぶ濡れ。

「風邪ひいちゃうよ!?」

「いいんだ。俺は濡れないとダメだから。」

はいぃぃぃい?

何を言ってるんだ、この人。雨に毒でも入ってるのかな?

なんて考えていると彼はどこかへ消えてしまった。