「あ…あのっ」
私は勇気を振り絞って広野くんに声をかけました。
広野くんは一瞬驚いた顔をしましたが、すぐに優しく、
「ん?何?」
と言いました。
私は急いでカバンの中からシャーペンと消しゴムを取り出して、広野くんに渡しました。
「これ、ありがとう。すぐに返せなくてごめんね」
「ああ、いやいや。どういたしまして」
「あの、それでね……」
私は再び、ゴソゴソとカバンの中をあさりました。
広野くんは不思議そうに見ています。
「コレ、もしよかったら……」
私は震える手で、マドレーヌを広野くんに差し出しました。


