「ほい、これ。終わったぞ」
「おーサンキュー」
職員室に行くと、自分のデスクでまったりとコーヒーを飲んでいる平岡がいた。
「おいおい、生徒に雑用押し付けておいて、自分は優雅にコーヒーかよ。教師としてどーなのよ、それ?」
オレはジトッと平岡を見た。
「あららー?随分と不機嫌だな、広野よ。なにも俺はただコーヒーを飲んでいたワケではないんだぜ?」
平岡はコーヒーの香りを楽しんでいる。
「このコーヒーはな、俺のお気に入りの店の新作なんだよ!超人気だから、並ばないと売り切れちまう。いや~、買えて良かったよ!わはは!スマンな広野~」
「お前なぁ…くそっ、せっかくのチャンスだったのに…」
「あ?何か言ったか?」
「なんでもねーよっ」
オレは平岡のコーヒーを奪い取り、グッと飲み干すと、今度なんか奢れよっ、と言って職員室を出た。
コノヤロ~!と、平岡の声が聞こえたが、もう無視だ、無視。


