「ふ…筆箱忘れた……!!」



かすかにオレの耳に届いたその声。


ああ、そうか。筆箱を忘れて困っていたのか。それなら。



オレは予備として持っていたシャーペンと消しゴムを筆箱から取り出し、立ち上がろうとした。

が。



…………あれ?ここでオレが貸すのって、不自然か?仲の良い友達に借りるのが普通だもんな…



そんな思いが、オレの立ち上がりかけた腰を、イスへ押し戻した。



オレが貸しても、なんで?ってなるかな。

もしかしたら、男子から借りるのは嫌がるかもしれない。


でも、困ってるし……