「仕方ないよ。うん。」 小夜は、しばらく黙った後、険しい顔をした。 「また、いつも忘れちゃう夢を見たの?」 …………。 「う……ん。」 私は、決まって同じ夢を見る。 まるで私自身が、その記憶の欠片を探しているかのように。 そして、いつも小夜に話しているんだけど。 __ピクッ あ。 小夜のこめかみが動いた。 小夜の癖は、困ると右のこめかみが動くことだ。