そして現在、熊は檻の中にいる。


狩人は、檻の外で頭をかかえている。


どちらもさっきからずっとだまりこんでいる。


しばらくしてから、熊のかすれた声が沈黙をやぶった。


「話すよ」


「え?」


「おまえの妹を殺した理由、話す」


「・・・・・・」


狩人はゆっくりと顔をあげた。熊をにらみながら立ち上がり、ふたたび椅子に腰をおろす。


「やっと、その気になってくれたのか」


「そのかわり、おまえも話せ」熊はにらみかえす。「おれの妻を殺した理由、話せ」


狩人は、少しの間うつむいてから、うなずいた。


「ああ、わかった。当然だ」


熊は、口にたまった血を吐き捨てて、声をしぼりだすようにして語りはじめた。