「私に、ですか？」
「おまえ以外に誰がいる」
それはランジェリーショップの隣にある、セレクトショップのもの。私の好きなデザインの服が揃っていて、何度か購入したことがあったから覚えている。
「着替えも必要だろ。ちょうどそこの店の店員がおまえと似た背格好だったから、その人に好きな服を数点選んでもらった」
「……はぁ、そうですか」
やっぱり政宗さんは天然なのかもしれない。もうこの程度のことでは、驚かなくなってしまった。慣れって恐ろしい。
きっと店員さんも困ったことだろう。自分に背格好が似てるだけで、服を選ばされてしまったんだから。きっとあの小柄な店員さんだろうなと、申し訳な気持ちになってしまう。
袋の少しだけ口の開いたところに指を差し入れ、中を覗く。すると、以前から欲しいと思っていたボーダーのワンピースが見えて、一気にテンションが上がる。
「ま、政宗さん。これ、これ……」
「ああ、気に入ったか？ それだけあれば足りるだろ」
足りるも何も、下着も買ってもらった上に欲しかったワンピースまでなんて。政宗さんのところでお世話になることにはまた多少の抵抗があるものの、盆と正月が一緒に来たような喜びだ。
