「っ…」
すっかり小説に入り込んでいた私はいきなり片方のイヤホンをとられてビックリした
視線を小説からイヤホンをとった人へと向けると昨日唯一私に話しかけてくれた人がいた
「おはよ〜」
その人は笑顔で私に挨拶してきたので私も挨拶を返す
「…おはよう?」
その人の名前が思い出せない
また名前聞くのは失礼だし…どうしよ
無意識に眉間に皺を寄せていると彼は笑いながら謝ってきた
「ごめんごめん、いきなりイヤホンとっちゃって」
誤解させてしまった
別にそのことについて怒っているわけではないのに
「…いや、別に気にしてない
ただ、貴方の名前が思い出せなくて…こっちこそごめん。」
私は失礼も承知で彼に名前を聞いた
すると彼は
「あぁ、それでか
俺の名前は結城 恭也(ゆうき きょうや)覚えた?」
怒らず笑顔で答えてくれた
コクリと頷き私は結城くんの名前を心の中で何回か復唱しもう忘れないように刻みつけた
それにしても…結城くんはとても整った顔をしている
一つ一つの顔のパーツ全部が整いすぎて怖いくらい
身長も結構高いと思う
多分、兄よりも
髪の毛は茶色に染められていて制服も上手く着崩している
昨日入学した時も一際目立ってたし
そんな彼は私の前の席だ
それで多分話しかけてくれたんだと思う
この苗字に感謝しなきゃな

