お菓子よりも甘く






『...夢野さん』

「...なんです、か?」

『名前...
下の名前で呼びたいんだけど』

「...いい、ですよ
あ、私の名前...」

『...瑠々、でしょ』

「...うん」

『俺の事は?』

「...え」

『...名前』

「...んんん...」

『まさか知らないとか...』

「し、知ってるよ!
遥斗君でしょ!」

『そうそう』

「...ずるいですね」

『...なんのこと』

「私に名前...
呼ばせたでしょう」

『...さぁ?』

「...遥斗君のばーか」

『.........』

「口元...緩んでるよ」

『...まぁ』

「...にやにやしてる
やらしい顔です」

『仕方ない。
好きな子と手、繋いでるし
名前、呼んでくれたし』

「.........」

『真っ赤』

「...うるさい」

『可愛い』

「...うる、さい」

『瑠々』

「なんですか」

『好き』

「.........」

『聞いてる?
もう1回言おうか』

「聞こえました
っていうかさっきも言われました」

『ちゃんと俺に好かれてるって
自覚しながら俺と過ごしてね』

「...うー...はい...」

『...ほら、止まらないで』

「...うっ
手、引っ張らないで...」

『...足、遅いんだな』

「いや、足の長さから違うし」

『そうだな...
ちゃんと歩幅、合わせる』

「...私が合わせるからいい」

『...ついてこれるの?』

「...疲れる。ほぼ競歩状態」

『じゃ、大人しく合わせられてて』

「はい...」