俺はコーヒーを買うと、ロビーの長椅子に腰掛けた。 女の子も俺の隣に座る。 ウェーブがかった長い髪から、やわらかい香りがした。 「名前、なんやていうの? あ、俺は、加藤 護。まもるは、護衛の護」 「私は松村 明日笑。明日、笑うで、あすみ」 「へ〜、明日笑ちゃんか〜。ピッタリだね」 俺はその名前に、先ほどの笑顔を思い出した。 まわりの人を幸せにするような、素敵な笑顔だった。