まだ松葉杖にあまり慣れていないので、歩き方がどこかぎこちないけれど、割とすぐに自販機まで辿り着くことができた。 でも、自販機には先客がいた。 「あれ〜?なんで出てこないの〜」 緩やかな、耳触りのいい声が聞こえてくる。 パジャマにカーディガンを羽織っているところをみると、俺と同じくこの病院に入院している子なのだろう。 お釣りレバーをガチャガチャと動かしているが、自販機は石の様で、なんの反応もない。 「どうしました?」 困っている人を放っておけない性格の俺は、すかさず彼女に声をかけた。