ある日、帰り道に夕立が降った。 傘を持ってるかと彼から連絡が入った。 持っていなかったけれど、 大丈夫だと答えた。 それなのに彼は、仕事を抜け出して 駅まで傘を持ってきた。 ばかだな。 自分がびしょ濡れだよ。 思わず抱きしめた。 遠慮がちにしたはずなのに 彼は私をさらに強く包み込んだ。 彼の胸の音が、はやい。 濡れた彼のワイシャツから 彼の香りがした。 「ごめんね。あと、すこしだけ」 そう言って彼は、 私を離そうとしなかった。