モミの木と一輪の花

それから間もなく、風が吹き出した。

僕にはもう、どうにもできないのだろう。

僕はただ花を見つめた。

すると、突然花がこう言った。

「また、春に会おう」

そんなこと、できるのかい__

僕がそう言う前に、風が花から綿毛をさらった。