モミの木と一輪の花

僕の努力は虚しく、気がつけば、残りの綿毛はたったの一つだった。

花はそれでも落ち込んだ様子はない。

「君は悲しくないの?」

僕はこんなにも悲しいのに。

「悲しくなんかないさ。家族が増えてくれるんだから。それに、最後まで君といられるんだから」

花は明るくそう答えた。

僕は悲しいのか嬉しいのか、よくわからなくなった。

でも、僕が人間だったら、どちらにせよ大粒の涙を流しただろう。