みんな病んでる。

「……くっ」

相手は下唇を噛んで、拳骨で地面を叩きつけると、仲間に腕を貸されながら、キッと睨んでヨボヨボと去って行った。

紙幣はその場に残されていた。

よほど、横溝のパンチが効いたのだろう。

それにしても、何で……。

「何で、アンタがここにいる?」

俺は血の味がする唇を舐めながら、尋ねた。

「オマエが連れ去られるのを見てたから」

そう言うと、あいつらが受け取らなかった紙幣をポッケにしまった。

「ただのケンカなら、割って入る気はなかった。だけど、リョウ。オマエ、一方的にやられてただろう?」

「何で、俺の担任でもないのに、こんなことする?」

「一応教師みたいだからな、俺」