「ただいま~」

カラオケから帰宅すると、私は二階の自分の部屋へ上がろうとした。

「お帰りなさい、サツキ。ご飯食べる前に、先にお風呂にしなさい」

キッチンの方から、お母さんの声がした。

「ちょっと宿題片付けてから入るよ~」

そう答えて、私は自室へと入った。

宿題なんて、嘘っぱちだった。

早く、脚のかさぶたを剥がしたかった。

お風呂に入っちゃうと、皮膚がふやけて、上手にかさぶたを取れない。

私は制服を着替えるより、まず、ソックスを脱いだ。

両脚の膝から、ふくらはぎや足の甲には、10数個の引っかいた傷痕に厚い膜が張っている。

私の脚は水玉模様。

かさぶたを剥いでは傷が出来、また再生したかさぶたを剥いでは傷が出来、の繰り返しだった。

私は右太ももに手をかけた。

ちょうど3センチ大のかさぶたのキッカケを、爪でカリカリと掻いていく。

そして、そーっとかさぶたを剥いだ。