学校が終わって、風香と一緒に家に帰った。

もうすぐ受験ということもあって、私たちはいつもより早く別れた。



そのあと塾に行った。
ここでも風香と同じ塾に通っている。

もうそろそろ受験ということもあって教室は緊張感があった。

机に向かって黙々と勉強をした。

いつものように私は苦手な英語を克服するために、ひとりで残って先生に教えてもらっていた。

帰る頃にはもう11時を過ぎていた。

いつものように母親に電話した。

ぷるるるる、ぷるるるる……

出ない…

ちょっと不安になりながら何度か電話したが、誰も出なかった。

塾から家は距離はない。

しかし、両親は心配してわずかな距離でも迎えに来てくれる。

なのに…

なにがあったのだろうか。

そんなことを考えているうちに家に着いた。



ガチャ…




鍵がしまっていた。

たまたまそのときは鍵を持っていたので開けて、もう一度ドアノブを回した。




ガシャン!



チェーンがしてあった。

おかしいな…
この時間はわたしが帰ってくるとわかっているはずだから、チェーンはいつもしていないのに…

不安がつのった。

でも、チェーンがしてあるってことは中に人がいるんだよね…?

そう思い、呼び鈴を鳴らした



ピーんポーン


誰も出ない…



ピーんポーン
ピーんポーン
ピーんポーン……


何度ならしたって同じだった。

とりあえず家、両親に電話しまくった。

父親に電話したとき、窓がかすかに光るのが見えた。

ドアや窓を、バシバシ叩いたが父親は出てこなかった…。

そのとき、ずっと不在着信だった母親から電話がかかって来た。

電話から聞こえた母親の声は泣いていた。


「もしもし…。どうしたの?
チェーンしてあって家の中入れないよ。どーすればいいの?」


私はパニックになっていた。

母親は「ちょっと今日は家に帰れない」

と言った。


母親は友達の家にいるという。
高校時代の友達で家もそこまで遠くないから、そこに今日は泊まらせてもらうそうだ。

とりあえず、帰るところがなくなった私も、その友達の家に泊まらせてもらうことになった。