いつもの時間に目が覚めた。

目覚めの良い朝だった。

今日もまた同じ朝だ。

何事もなく1日が始まるのを願っていた。

私の名前は鈴木かのこ。

地方職員の父と、専業主婦の母、頭の良い兄が2人いる。

末っ子の私は兄と歳が離れてることもあって両親から甘やかされて育てられた。

毎日、充実していた…。

いつからだろう。
しぶんがこんなにも不幸だと思い始めたのは。

私にとっての幸せはいつの間にか、なにも起こらないことになっていた。

静かに、生きていられることが一番の幸せだと思っていた。

私は今日も幸せを願い、いつものように「おはよう」と両親に言い、コーンフレークを食べた。

更年期ぎみの母の癇癪を起こさないように洗濯物を干した。

いつの間にか洗濯物を干すのは私の当番になっていた。

そそくさと準備を済ませ、学校へと向かった。

いい天気だ…

空を見上げて深呼吸した。

今日もなんとか切り抜けた。
いい1日になりそうだ。

そんなことを考えてるうちに毎朝一緒に登校している風香との待ち合わせ場所に着いた。

やっぱりまだ来ていない。

風香は時間にルーズだ。

ちょっとわがままで、ずばっとものを言える風香は私にとって大切な存在だ。

いつものように5分ほど遅れて風香はやって来た。

たわいもない世間話をしてるうちに学校に着いた。

私は3年2組。
風香は3年3組。

3年生になって、私たちは別々のクラスになってしまった。

最初の頃は休み時間ごとに、風香とあっていたが、今はもうそれぞれクラスの子と楽しんでいる。

クラスにいる時には遙とよくいる。

遙は私にとって居なくてはならない存在だ。

遙が居なければ私はひとりぼっちだ。

私は特に社交的ではない。
目立つわけでもない。
静かにそっと生きている。
だから、友達も少ない。


でも、毎日充実していた。
いきていられることだけでそれだけで、幸せだった…。