忘れ物を届けに





「俺、ニンゲンはじめて見たわ」

兎はまじまじと"ニンゲン"を見る。

(…いや、私だって喋る動物ははじめて)

動物が言葉を喋るなんて。
服も人間と同じように綺麗に着こなし、靴も履いている。

「…まあ、珍しい生き物だが…

ニンゲンは排除しなきゃなあ…」

「っ!?!?」

兎は鎖を離し、後ろに戻った。
この兎は人間が逃げ出すのを防ぐための見張りだったのだ。