私は、笹野君に、恋をし始めてた。









「香里、本全部、読んだの?」


 私は、一週間までに借りた5冊の本を返しに、真子は、私の付添人みたいに、ついてきた。

 真子は、手持無沙汰な感じだ。


「一応、全部、読んだよ」

「あの本も?」

「うん。一応ね」


あの本っていうのは、表紙が、〈ふぁー〉な本のことだ。


「内容は、どうだったの?」

「うーん。女子向けって感じ。途中まで、まぁまぁだったけど、最後、慌ただしく、急に、終わった感じ。ハッピーエンドだけど」

「ふーん。で?」

「で?って何よ」

「他に、びっくりすることあった?」

「あ、そうそう。前、真子と、食べにいったお店と同じ名前のお店、[セットテラス]、が出てたよ。」