その男の子は、静かに座ってる。

 休み時間も、一人、窓の外を見てる。

 そんな子を、私は目で追ってる。









「昨日のケーキ、美味しかったよね。また行こうね。香里」

「う…うん。行こう」

「また、ボーッと、してる。何!私とは、話したくないの?それとも・・・」

「ごめんね。っていうか、それとも、何?」

「恋?」


 ゴホッ。


「変なこと言わないで・・・よね・・・・。喉に引っかかったじゃない」

「ごめん。ごめん。ほら」


 涙目になってる私に、真子は、私の持ってきた、お茶を差し出した。





 

「でも、恋だよね。笹野君に恋してるでしょ?」


 落ち着いた私に向かって、真子は、真面目な顔でこう言った。

 だから、私も、ちゃんと答えた。


「うーん。っていうか、あの子、笹野君っていうんだ」

「同じクラスで、もう半年なのに、知らなかったの?」

「うん。知らなかった」

「で?」


 そうだった。話が横道にそれた。


「恋してるというか、気になってるだけ」

「それを、恋の始まりっていうの」

「違うと思うけど」

「香里は・・・・。目が違うもん」


 目?目が違うって・・・。