私は、あくびばかりしてた。


「香里、あくびばっかりして、昨日夜更かししたの?」

「うん。昨日、ちょっと、部屋の掃除してたら、意外に時間かかってね」

「ふーん」


 ベッドの上で本を読んでて、途中までは記憶あるんだけど、、いつの間にか朝になってて。

 要するに、原因は、夜更かしして本を、読んでたこと。

 でも、真子には言わない。

 昨日の真子の反応見たら、なんか少し馬鹿にされそうな気がして。




「で、あの本は、どこまで読んだの?」

「昨日、頑張って夜遅くまで読んで、200ページ。以外にページ数・・・って、あ!」

「ふーん。200ページも読んだんだ。で、眠いってわけね」

「読んだのは、確かだけど、掃除・・・」

「あ、掃除ね。あ、香里、顔に本の跡ついてるよ」

「え、嘘!」




「ギャハハハハ。嘘だよん」

「えっ」


 おでこを触ってた私の手が、止まった。


「香里、甘いね。しかも、どこって言ってないのに、おでこ触るなんて脇が甘いね。どうせ、本を枕にうつぶせに寝てたんだろうけど」

「うっ」


 図星。

 朝起きたら、うつぶせ寝で、おでこに本があった。

 
「図星ね。香里」

「もぅ。真子、私の最初の言葉通り、素直に受け止めたらいいのに」

「だって、香里、事実と違うことを言うとき、言った後の口が半開きになるもん」

「嘘・・・」

「うん。嘘。でも、ほんと、香里の顔を近くで見ると、本の跡、薄らついてるよ」

「誰も、近くで見ないからいいもん」

「いいから、顔、どこかで、洗ってきな。香里」

「もー。いいのに。わかった。教室に入る前に、洗ってく」

「よろしい。それより、もう少し、早く行こう。このままだと、やばいわ。遅刻するよ」


 真子の走ってる後姿を見て、私も、スピードアップした。