「あたし、ずっと妖精先生になりたかった。
絆(プティ)を育て、守る、世界で一番素敵な職業に。
人気があるからとか、給料が高いからとか、そんな理由じゃなくて、深い理由があって、本気でずっと目指してきた。知ってるでしょ?
何年も勉強してきて、今年やっと、16歳っていう受験資格を得ることができたの。
やっとだから、がんばりたい。受かりたい。だからこそこのままでいくよ。これまで一緒に育てた私たちの絆が、きっと武器になると思うの。だって、妖精先生は絆を育て守る職なんだから。
私たちの“絆(プティ)”が、世界を変える。だから、きっと受かるよ」

シルフィにもわかっていた。

この面接が問題のある者を落とすためだけのもので、変わったことをしなければ受かるだろうことを。

けれど、妖精先生は絆の職であるから、服装からしてありのままに最大の絆を示して、そのうえで受かりたかったのだ。そうでなければ意味がないと考えているのだ。

『………』

シャドウはしばし黙していたが、不意に減速すると、シルフィのそばに体を寄せた。

『乗れ、嬢』

これは非常に珍しいことだ。誇り高いシャドウは、たとえわが子のようにかわいがるシルフィであろうとも、滅多なことでは背中に乗せたりしない。

「い、いいの?」

『いいから乗れ』

「ありがとう!」

シルフィががっしりとした背中にまたがると、シャドウは首を回してプチの襟首をくわえた。ちょこまかうるさく飛ばれるよりよほど効率的だと思ったのだろう。

三人はそのまま疾駆し、広場を抜けた。やがて面接会場である中央妖精大学校の高い塀が間近に迫ってくる。

『正門にはまわらぬ。時間がかかりすぎる』

「どうするの?」

『こうする!』

シャドウは宣するなり力強く大地を蹴り、軽々と跳躍した!