「深夜と言えども今日は人の出入りが激しいみたいだね。…もう少し、様子を見るしかなさそう。今のうちに、少し寝ておく?」

シルフィがそう提案したが、テフィオはやけに断固として首を横に振った。

「俺は寝ない。必要ない」

「そう? 寝ておいた方がいいよ? あ、もしかして作戦前だから、興奮しちゃって眠れない?」

「ばかを言え。俺はどこでも眠れるよう軍事訓練を受けている。眠れるに決まってる」

「じゃあ寝ておこうよ」

「うるさいな」

「でもいざという時―」

「いいんだ! 起きられないんだから!」

苛立ったように叫んでから、テフィオはしまったという顔をした。

シルフィとファイツは目を丸くする。

「起きられ…ない?」

それはどういうことだろう。まさか…。

口を滑らせてしまったものはしょうがないと思ったのだろう。テフィオは苦虫をかみつぶしたような顔で説明してくれた。

「…起きられないんだ」

「え?」

「…苦手なんだ、朝。朝でなくとも、昔から寝起きがどうしても…」

「それってつまり…お寝坊さんってこと?」

シルフィはまだ目を真ん丸にしたまま、その事実を心で反復してみた。

テフィオがお寝坊さん。

つまり、毎朝堂々と遅刻してくるのは起きられないからだったということになる。

「…へぇ~」

「笑うな」

「笑ってないよ」

「笑ってる!」

「だって…」

ぷはっと、こらえきれなくなって、シルフィは吹き出した。

本人にとっては深刻だろうに、不謹慎とは思うが…これが笑わずにいられるだろうか。なんというか、とても―カワイイ。