「うん! だって、プティの樹液で妖精の色に染めたこの服こそ、妖精先生にもっともふさわしいもの。丈が短いのも帯を手首に巻かないのも、すべて妖精先生として動きやすいようになんだから」

シルフィは明るい調子でそう答えたが、シャドウは表情を険しくして周囲に視線を送った。

『世間はそうは見ない。見ろ―』

駆けるシルフィたちを取り巻いている人々の視線の中には、狼を恐れるものだけでなく、明らかにシルフィへの軽蔑の色がある。

人々が、迷いの森に動物と住んだり、おかしな服を着たりする変わり者のシルフィを快く思っていないことは、厳然たる事実だった。

それが面接ともなればなおさら激しく非難されるだろうことはわかりきっている。

『それでも?』

シャドウの問いかけに、シルフィは再び頷いた。

『受かると…思っているのか嬢』

「うん」

『不安はないのか』

「不安はあるよ。あるけど、信じてるの」

『何を…?』

シャドウは聞き返したが、その答えはわかっていた。それはシルフィの口癖のようなものだから、彼女と親しく接する者ならばわからぬはずがない。

三人は心で同時に同じ単語を思い浮かべた。

―“絆(プティ)”。

シルフィは力強く瞬くと、微笑んで語った。