何かが変だ、とテフィオは思う。

自分は原因不明の病にでもかかっているのだろうか。

シルフィという人間は、見れば見る程わからない。

笑ったり、泣いたり、怒ったり。確かな信念でぶっとんだ行動をとったり。

このひと月、シルフィとファイツと三人で協力して奔走する中で、シルフィのさまざまな表情や言葉に触れて…わけがわからなくなってしまった。

何がわからないのかもわからないのだ。

テフィオの心理は混乱をきわめた。

もちろん、「目的」は忘れていない。

忘れていないが、忘れているかのように感じるくらい、ふしぎと毎日が楽しかった。

そしてしだいに、シルフィから目が離せなくなっていた。

それが一番の謎だ。

「奴ら」の視線を感じても、前のように抱き寄せたりできなくなった。

なぜだろう。わけがわからない。

一人でいるときも、耳の裏であの声が蘇る。

気が付くと、シルフィのことを考えている。あんな人間が幼い頃、自分の近くにいてくれたら…などと。

―いてほしかった? …まさか!

とにかくなんとおそろしい病だろう。

病原菌を振りまいているのはもちろんシルフィに違いない。

まったく、腹立たしい。