テフィオをみつめるシルフィのまなざしの優しさに、プチは閃くものがあったようだ。

『テフィオ先生のこと、もっと知りたいって思ってるでしょ』

これにはシルフィ、ぎょっとする。

「ええ!? なんでわかるの!?」

『シルフィ…。まさかとは思ってたけど』

『――――恋、じゃな』

シャドウの一言に、シルフィは息をのんだ。

「 “恋”!?」

単語を聞き違ったのかと思った。

しかし胸の中のこの暖かな想いに、その単語はしっくりとくる気がした。

「あたしが…恋…? この気持ちは、好きってことなの…?」

シルフィは愕然とし、両手で胸をおさえる。

それも無理からぬこと。

恋など、ジュピテリオスでは忘れ去られた感情だ。

結婚はすべて気の力の釣り合いを見て政略的に決められ、生まれた子も道具として扱われる。誰かを愛おしいと思うことなど、ないのである。

しかし今シルフィは確かに、テフィオを愛おしいと思っている。

それはとても…とても大切な感情のような気がした。

シルフィは胸をおさえたまま、自分の感情を確かめるかのように、テフィオを見つめ続けたのだった。