ファイツは話に聞く人間やジュピテリオスに、憧れてすらいた。
あの日までは。
両親を目の前で殺され…すべてを知ったあの日までは。
その日、ファイツは過ちを犯した。
けれど、何も知らぬ、知らされぬファイツが、その過ちを犯したことは、あまりにも仕方のないことだったのかもしれない。
ファイツは…隔離されていた秘密の広場から、出てしまったのだ。外の世界を見て見たい、その一心で。
そして…。
そこで。
仲間たちが暗い表情でたむろするその森の一角で、はじめて人間を見る。
彼らは役人と呼ばれていて、一目見るなりファイツの容姿を気に入ったようだった。
「ちょうどいい。こいつを我が家の愛玩奴隷としよう」
「あいがんどれい?」
ファイツは抱き上げられても暴れることすらしなかった。ただひたすらに人間が珍しくて、目をまんまるにして見上げていた。
「おやめください!」
懇願の叫びをあげたのは父だった。
「その子はまだあまりにも幼い。ご存知でしょう、妖精が能力に目覚めるには10歳になるまでを森で過ごすことが必要だと。今連れて行かれては、将来奴隷にもなれず、捨てられるだけの、あまりにもかわいそうな子となってしまいます!」
「今日は特別な褒美をもらえる日なんだ。幼い子どもを愛玩用に持って帰ってもいいと、上司からお許しが出ていてね」
「な……」
あとで知ったことだが、幼い子供を愛玩奴隷とすることは法律で禁止されていた。だから上司という存在が、よほど力ある存在だったことは疑いなかった。けれどその上司が何者かなど、ファイツ達には知りようがなかった。
あの日までは。
両親を目の前で殺され…すべてを知ったあの日までは。
その日、ファイツは過ちを犯した。
けれど、何も知らぬ、知らされぬファイツが、その過ちを犯したことは、あまりにも仕方のないことだったのかもしれない。
ファイツは…隔離されていた秘密の広場から、出てしまったのだ。外の世界を見て見たい、その一心で。
そして…。
そこで。
仲間たちが暗い表情でたむろするその森の一角で、はじめて人間を見る。
彼らは役人と呼ばれていて、一目見るなりファイツの容姿を気に入ったようだった。
「ちょうどいい。こいつを我が家の愛玩奴隷としよう」
「あいがんどれい?」
ファイツは抱き上げられても暴れることすらしなかった。ただひたすらに人間が珍しくて、目をまんまるにして見上げていた。
「おやめください!」
懇願の叫びをあげたのは父だった。
「その子はまだあまりにも幼い。ご存知でしょう、妖精が能力に目覚めるには10歳になるまでを森で過ごすことが必要だと。今連れて行かれては、将来奴隷にもなれず、捨てられるだけの、あまりにもかわいそうな子となってしまいます!」
「今日は特別な褒美をもらえる日なんだ。幼い子どもを愛玩用に持って帰ってもいいと、上司からお許しが出ていてね」
「な……」
あとで知ったことだが、幼い子供を愛玩奴隷とすることは法律で禁止されていた。だから上司という存在が、よほど力ある存在だったことは疑いなかった。けれどその上司が何者かなど、ファイツ達には知りようがなかった。

