絆物語~クールな教師(アイツ)と狼少女の恋~

シルフィはさすがに気落ちし、それ以来数日ため息ばかり落としていた。

見かねたプチが、心配そうに声をかけたのは、はじめて寮を訪問してから三日後の放課後のことだ。

シルフィたちは諦めきれない気持ちを抱えて、校舎からふらりと寮の方向へ歩いていた。

『ねえシルフィ。妖精先生になって、本当によかったの?
シルフィががんばってるのも、ずっと目標にしてきたのも、その気持ちも、わかってるつもりだけど…。また“あの頃”みたいに笑顔をなくしてしまうんじゃないかって、ボク心配だよ』

「…………」

シルフィは何も答えなかった。

シャドウは何も言わず、じっとそんなシルフィを見上げている。

その時左手に運動場が見えてきて、プチが『あっ』と声をあげた。

シルフィもその声につられて顔をあげると、視界に見慣れた姿が飛び込んできた。

テフィオだ。

いつもの木剣を持ち、小さな妖精と向かい合っている。

あれは――ファイツではないか。

「この落ちこぼれめ!」

テフィオの厳しい声が耳に届いた。

ファイツはテフィオと相対するも、視線はうつろなまま、まったく反応を見せない。

「どうした! やってみせろ! 俺を殺すつもりで向かってこい! この、臆病者め!」

ファイツの視線が動いた。

テフィオをぎろりと睨みあげる。そして「うぅ!」と唸り声をあげ、炎を吐こうと口を開く。

が…ぷすぷすと煙しか出てこないようだ。

「ふん、この落ちこぼれ野郎! お前の両親も、さぞかし力ない妖精だったんだろうな!」

「――――っ!!」