「この…………鬼!!」

「ほう」

きらりと、バリバウスの目が光る。

「たった今、お前は校長である私を中傷したな。これは校則の不敬罪にあたる。救命の請願にて願われたのは、お前を妖精先生にすることだったが、それはもう叶えた。あとはいつ解雇してもよいのだぞ? 
お前を、不敬罪により逮捕、解雇する」

「…っ!?」

シルフィは校則を思い出し、青ざめた。

バリバウスの言う通りだ。不敬罪は校長の采配で解雇処分できる。

どうしよう。

今、解雇されるわけにはいかない。

まだ何もなせていないというのに。

大ピンチ到来だ。

シルフィがきつく唇をかみしめた時、開け放したままの扉から、プチが大慌てで飛び込んできた。

『シルフィ、待ってよ、足速すぎるよ~~~~!』

プチは勢い余って壁際の書棚にぶつかり、ばらばらと何冊もの本を床に落としてしまった。いつのまにかシャドウがひっそりと部屋の隅に控え、落ちた本に鼻を寄せている。

それに目をやったシルフィは、床に落ちた本のタイトルを見てはっとなる。

その本とは――

公務員法。

(そうだ!!)

シルフィは閃き、反撃に出た。

「公務員法第36条、公務員に任ぜられし者、就任より半年の間はいかなる理由があろうとも解雇されない、とあります! 校則より、こちらの方が優先されるはずです!」