絆物語～クールな教師（アイツ）と狼少女の恋～

二人を追いながら、プチにはこの展開が意外でならなかった。

なぜならシャドウは、シルフィが妖精先生になることに、強く反対していたからだ。

一週間前、筆記試験に合格したことがわかった時の会話が思い起こされる。

『生活が壊れてしまうのだぞ、この穏やかな生活が。森の家を、出て行ってしまうかもしれぬし、金を手にして人が変わってしまうかも知れぬではないか』

『大丈夫だよ。シルフィはそんな子じゃない。シャドウだって、わかっているでしょ？』

『……。醜い人間たちの中に出て行って…きっと嬢は傷つく。先生になどならずとも、よいではないか。森で穏やかに暮らせれば、よいではないか。その方が、嬢は幸せになれるのではないか？』

『シルフィの幸せは、シルフィが決めることだもの。ボクはシルフィの気持ちに、任せてみたい』

『わらわは反対だ』

その夜以降、シャドウは姿を消していた。

そのシャドウが今、こうして面接会場に行くのを助けてくれている。

そう思うとプチは胸が熱くなった。

シルフィも同じなのだろう、その瞳の輝きを見ればわかる。