人一人通るのがやっとの狭い階段を下りながらも、その時はまだ、信じていなかった。

こんなところに妖精が暮らしているなど。

しかししだいに、信じざるを得なくなった。

彼らの「部屋」がある場所に、たどり着いたからだ。

それは「部屋」と呼ぶにはあまりにも狭く、冷たい鉄格子のはまった様子から、監獄といったほうが正解のような空間だった。

びっしりと床から天井まで、無数に並んだ小さな監獄のごとき「部屋」。

そこに、無数の妖精たちが…いたのだ。

皆ランタンの灯りを眩しそうに見上げ、

「なんだ、またきまぐれに鞭でも打つ気か」

「勘弁してください。お願いします…」

と、口々にしゃべりだす。

その内容はシルフィを戦慄させるに十分だった。

彼らは気まぐれに鞭打たれているという。

まだ奴隷にすらなっていないのに、この学校の敷地内で…!!

シルフィもプチもシャドウもしばらく絶句していた。


やがてシルフィがランタンを床に置き、そっと鉄格子をつかんだ。

「だい…じょう…ぶ…。
大丈夫。あたしはみんなを鞭打ったりしない。助けに来たんだ。今はまだ、ここからだしてあげることはできないけど…近い未来にそれができるようになるために、大切なものを持って来たの」

シルフィはプティの実からつくった試食を取り出し、その効能と、これからの展望を説いた。