いつつ。彼の人格のことだ。

午前の授業はシルフィが担当し、教養全般を教え、その間テフィオが不愛想にそれを監督している。

そして午後の授業はテフィオが担当し、妖精に実技を教えるのを、シルフィが監督するのだが…。

ファイツの場合、最初の基礎能力測定に、やたらと時間がかかってしまった。

ファイツがまったくやる気を見せず、妖精としての力を使おうとしなかったからだ。

シルフィが来る前も、ずっとこの調子だったらしい。

数日前テフィオがそれに苛立ち手をあげたことが、シルフィの胸にひっかかっている。

あの盗賊たちから皆を救ってくれた日、「妖精は絶対に傷つけさせない」と言い放った彼だというのに…。

(優しい人のはずなのに…)

むろん、彼のその行動のおかげで、ファイツが怒り、やっとファイツの基礎能力測定ができた。

ファイツは明らかに激怒しても、ぷすぷすと煙しか出すことができなかった。

「相当な落ちこぼれ…と」

テフィオはしっかりとそれを羊皮紙ノートに書き込んだようだが、シルフィはそうは思わなかった。

「ファイツ、大丈夫、練習すれば、きっとたくさん炎を出せるようになるからね」

『そうそう! がんばって!』

今日も様子を見に来ていた小鳥のプチを、ファイツがしっかり目で追う。

シルフィはこのことに気が付かなかったが、テフィオは目つきを鋭くして眺めていた。