シルフィには意外だった。

弾丸のように室内に飛び込んできて大暴れしていたあの妖精とは思えない様子だったからだ。本当にあの妖精なのだろうか。

シルフィは「そうだ」と声をあげ、戸口にあるものを探した。

ここが本当に教室なら、担任教師の名とクラス名が掲示されているはずである。

そのシルフィの予想は当たっていた。

最初は見落としていたが、確かに戸口には担任教師の名のプレートが貼り出されていた。

「担任は…“テフィオリウス先生”? ねえ、妖精さん、どうして今ここにその先生がいないか、わかる?」

「…………………」

「おかしいね。一緒に探しに行こうか」

「…………………」

「わかった! あたしが探してきてあげる!」

『ええ!? シルフィ、本気!?』

プチからすればシルフィの思いつきはいつもぶっとんでいる。

「だって、放っておけないでしょ? プチとシャドウも手伝ってくれない?」

『探すって、どうやって探すの?』

「職員室に行けば何か情報が手に入るよ」

シルフィはすでに歩き出しており、シャドウも名残惜しげに妖精を椅子に戻し、踵を返している。

『わかったよ。一緒に探そう』

シルフィの行動力にいつも振り回されっぱなしだが、大抵否やはないのがプチの人(?)の好さであった。