やっとわかったのだ。

ラダメシスなんて、いらなかった。

いらなかった。

お前を知ってから―――

お前が、ずっと俺が欲しがっていたものを、くれたから。

絆(プティ)を、くれたから。

「シルフィ…!」

しかし、何度呼んでも、愛しい少女の目が開くことはなかった。

―俺はバカだ。

欲しいものは、もう、手に入れていたのに…。

『…好きなんだ…』

声にならない声。

テフィオは泣きながら少女をかき抱いた。

シルフィの鮮血で、テフィオの身に着けたファレム(腰布)とライナ(首布)が赤く赤く染まっていく…。

妖精との絆の色へと。

まるでそれが最後の置き土産だとばかりに。

彼女の呼吸は、とうに止まっていた。