しかし彼は、すぐにその剣を地面に投げ捨てた。

そしてすぐさま傍らに倒れる少女を抱き起こす。

「シルフィ! シルフィ! しっかりしろ!」

しかし、シルフィからの返事はない。

彼女は顔面蒼白だった。

その胸からは貫通した矢の先が飛び出しており、そこが鮮血で真っ赤に染まっている。

その時闇の空から一条の光が射しこんできた。

光がだんだんと大きくなり、空の色がまばゆい青に、変わっていく。

目の覚めるような変化。

日食が…終わったのだ。

テフィオの脳裏に、彼女の声が蘇る。

朝日を前に、彼女が告げた言葉。

『これが最強の剣。
どんな闇も切り裂いてくれる。
人の心まで照らす刃…』

「―シルフィ!」

いつからだろう。

自分は彼女に惹かれていた。

『変だね。欲しいものは全部、ここにあるのに』

「目を…覚ましてくれ! 返事をしてくれ!」