ドスッという鈍い音と共に、背中に激痛が走ったためだ。

「忌み子を殺せ―――!!」

「今だ、とどめを刺せ――!」

前線に練習用の木の弓矢が送られてきたのだろう。

そして人間たちは、それでこともあろうにシルフィを射抜いた…。

シルフィはあまりの痛みによろめいたが、それでも両腕を広げて立つことをやめなかった。

守ろうというのだ。

たった今、自らを弓矢で射抜いた人間たちを。

「人間は、あったかいよ。
笑ったり、怒ったり、泣いたり、忙しいけど、あったかいよ。
大好きだよ……」

だんだんと彼女の声は掠れ、そして最後にはもう言葉にならずにその場に崩れ落ちた。

「シルフィ――――!!」

絶叫と共に、一人の青年と妖精が駆け寄ってきた。

テフィオとファイツだった。

「テフィオ先生! “契約(ファントリエル)”を!」

肩の上から響いた肉声に、テフィオはぎょっとした。

聞いたことのない声。

ファイツが……しゃべったのだ!